マルシェバッグ(ツイスト) – オイルアップ加工

2021. 03. 16

PLANTではいくつかの種類の植物タンニンなめしの革を使用しています。

中でも力を入れて使っているのはツイストレザー。起毛した柔らかい質感と見た目からは生地のように感じられる反面、しっかりと肉厚で革としてのコシもある不思議な革です。この起毛を故意に寝かせてみたらどうなるのか?というのを本日はご紹介します。

革のこと / ツイストレザー

ツイストに関しては以前の記事をご覧ください。

 

早速ではありますが、写真左がマルシェバッグの通常のグレー。対して右側が水分と油分を加えて起毛を寝かせたグレーです。

作業工程としては非常にシンプル。霧吹きでムラのないよう満遍なく銀面を濡らした後に市販の革用クリームを塗り込んでいます。コツとしては水分8:油分2ほどの割合でしょうか。油分を与えすぎると表面がべたべたになってしまうので水分を加えて引き伸ばすイメージで靴磨きのように銀面を磨いています。また、今回は植物性の柔らかめのクリームを使用しています。

作業中の写真を撮ればよかったのですが失念していました。

その後丸一日風通しの良い場所で乾かしたものがこちらになります。

明白に色が濃くなっています。油分を加えて磨いているのだから当然とも言えますが、起毛の下にしっかりと銀面が残っている事がわかります。細かく全体にバフ掛けされているのでプエブロなどの銀擦りの革とは一味違います。

また、ムラ感や起毛していた事で隠れていた薄い傷や染み、トラ柄もあらわになります。この辺は人それぞれ良い悪いがあるかと思いますが、これも革本来の持ち味だという事でご理解頂ける方におすすめの革です。

肝心の手触りですが、見た目以上にここが一番変化している部分となります。

シュリンク、ヌバック、ウォッシュ、プルアップ、ワックスの5加工を施しているため、使いはじめはヌバック(起毛)が目立ちますが、プルアップの要素が強く出てきます。

プルアップとは、指などで押さえた時に革内部のオイルが移動して表面に浮き出てくる(色が薄くなる)こと。この事で多少の撥水作用があったり、傷が目立ちにくいといった性質に変化しています。

使いはじめの繊細な性質と真逆なので何が何だかよくわかりませんが思い通りのエイジングを目指すには一筋縄ではいかない様です。

いずれにしても長く使っていけば起毛も自然とおさまっていきますので無理して加工する必要もないとは思いますが、依頼があればこちらの加工を施してお渡しする事も可能です。

特に推奨はしませんので加工を行う場合は自己責任でお願い致します。

とはいえ、個人的にはこの質感も大分好みなのであえて先に起毛を寝かせた製品作りもしてみようかと思っています。

写真で風合いを伝えるのもなかなか難しいので店頭に今回加工したこちらのマルシェバッグも置いておきます。ご来店の際は是非比べてみてください。ちなみに現品販売もしています。